歯科医師になって20余年、きたいま歯科を開業して15年以上
歯科医師になって20余年が経ち、その間歯科という学問も進歩してきているように思います。そして、きたいま歯科を開業して15年が過ぎ、患者さんの治療経過も少しずつ見えてきた感じがします。(私の師匠からすれば、まだまだひよっこですが。私の師匠、日本顎咬合学会の元会長で、重鎮の東京の矢澤一浩先生は、臨床歴が40年以上もあり、いつも笑われています)
「こういった場合に保険で治療をすると、悪くなってしまう。しかし保険で、とおっしゃる患者さんのご希望や保険の制度に沿うには、これ以外の方法はとることができない。」…保険の治療では予後が悪いと分かっていながら、しなければならないこともあり、忸怩(じくじ)たる思いに悩まされたことも多いです。自暴自棄に陥ったことも一度や二度ではありません。
私が常々思っていること
私が歯科医としていつも考えているのは、
①滅菌や消毒はやって当たり前で、このことで評価されるのではなく、学問と技術を研鑽し続けてこそ、来院者の方が満足される結果が出るものである。
②自費治療がすべて良いというわけではなく、その方の病態にあった治療を提供できるようにしていくことが大切。
③かぶせ物をした直後が最高の状態であって、一生もつものはこの世に存在しない。しかし、できるだけ長く持ってもらいたい。再治療をできるだけ少なくしてあげたい。
ということです。
学術的根拠に裏打ちされた器材を導入しています
以前、このような経験をしました。
歯科の機械を販売するメーカーから、『こんな良い器械ができましたよ!診療効率も良くなります!』というふれこみのチラシを受け取りました。とても良さそうに思えたので、私はちょっとした説明書きを読んだだけで導入を決め、使い始めました。確かに診療効率も上がり、患者様にも楽に診療できるようになりました。
ところが、あるセミナーに参加したとき講師の先生が、学術的根拠に基づいた理論でその器械のことを説明され、あまり良いものではないことがわかりました。それ以来、新しい機械や器材の情報を受け取ったとき、私のできうる範囲で徹底的に調べ、学術的根拠に裏打ちされた機材でなければ導入しないようになりました。歯科のメーカーや販売店にとっては都合の悪いお客さんかもしれませんが、患者さんに良い治療を提供するためには、検証を徹底することが欠かせません。
どんなに高度な治療も、自分の歯にかなうものはありません
例えば、残念ながら歯を抜くことを余儀なくされてしまった方がおみえになります。
歯を抜いた後は、そのまま放置することはあまり都合がよくありません(親知らずの抜歯は除きます)。抜けたまま放置すると、かむ力が弱くなってごはんが食べづらくなります。また、なくなった両隣の歯が倒れこんできて歯並びが崩れたり、その歯とかみ合っていた歯がだんだん伸びてきて、弱い歯質のところがむし歯になりやすくなります。ですから、歯が抜けたらできるだけ早く処置をして、抜けた歯を補ってあげなければなりません。
どの方法も自分の歯ではありません。やはり自分の歯にかなうものはないと思います。
もちろん、歯科医として最善の治療、最善の処置をさせていただきますが、歯を抜かずに済む段階で歯を守る処置をすることが、患者さんの健康を守ることになると痛感しています。
あなたの歯を長持ちさせるためにお願いしたいこと
こういう経験を糧に、来院者の方には、
・患者さんご自身できること(毎日の正しい歯磨きなど)を行っていただき、
・定期的に歯科医院へ行って、自分ではできないところを清潔に保つ。
・また、歯に負担のかかるつめ物やかぶせ物は極力避ける。
(保険の銀歯は硬すぎて、かみ合わせの歯を痛めて歯の寿命が縮みやすくなります。
また、銀歯の下でむし歯が再発する可能性が非常に高いのです。)
などの行動をとっていただけるとうれしいです。
▼このような歯はありませんか?
歯科の正しい情報を知らない方がほとんどです。それは、私たち歯科医から、患者さんへの情報提供が足りていなかったからです。私は、このホームページを通じて患者さまや地域の方々へ情報を発信していきます。あなたの健康を守る情報の一つとしてお役に立てれば幸いです。