30年以上の歯科医師人生で、たくさんの入れ歯をお作りしてきました。その中で、保険の総入れ歯は制約が大きく、手間・時間をかけることが保険のルールに反してしまうことに歯がゆい思いをしてきました。もっと時間をかけて入れ歯を作って差し上げたいと思うことが幾度となくありましたが、保険で行う以上、ルールに従わざるをえません。
部分入れ歯に関しては、保険の場合はレジンという「プラスチック」で床(しょう:顎の内側に接するところ)を覆わなければなりません。弱い素材なので、強度を保つために分厚くなって違和感が出やすいこと、また、咬んだ圧力に負けて、残っているご自分の歯が抜けやすくなることに忸怩たる思いを抱えてきました。床の部分が金属なら、薄く丈夫に作れるので、違和感も歯の抜けやすさも格段に変わります。(もちろん材質の違いだけではなく、入れ歯が横振れしないような設計など、歯科医師としての技量も問われます)
今、このページを見られておられる方は、入れ歯にお困りの方だと思います。「入れ歯を作ったけどなかなか安定しない」「会話中に外れてしまう」「家族と同じものが食べたい」など、ぜひ一度、当院にご相談にお越しください。
私の思いに共感して、この後の文章を読んでいただけたら幸甚です。
「80歳で20本の歯を残そう」という8020運動も広がってきて、歯科医院でも、できるだけ歯を残す治療が多くなっています。歯周病やむし歯で歯を失う方も少なくなっていますが、それでもまだ一定数おみえになります。最近は、歯根破折といって歯が割れてしまい、抜かざるを得なくなった方も多くみえます。
歯が無くなった場合の選択肢としては、
①インプラント
②ブリッジ
③入れ歯(義歯)
の3通りがあります。
私の30年以上の臨床経験からのお話にはなりますが、第一選択肢は、“歯周病がないのであれば”インプラントが良いのではと思っています。しかし、お体の状態や、金銭的な面から断念せざるを得ない方も多いです。糖尿病、骨粗鬆症などの病気をされている方は、安全を優先して、インプラントは避けた方が良いと思います。また、インプラント手術が怖くて嫌だという方もみえます。
では、第二選択肢としては、ブリッジと入れ歯(義歯)のどちらが良いのでしょうか?
ブリッジは、健康な歯をたくさん削らなければならない上に、1本1本独立して動くのが自然な歯を「固定」してしまうので、あまり好ましい方法ではないのかなと考えています。そういった場合は入れ歯(義歯)という選択肢になります。
となりますと、第二選択肢は入れ歯(義歯)、というのが私の結論です。
入れ歯(義歯)の保険治療は、型をとってから数回で完成します。早い方が良いと思われる方もいらっしゃると思いますが、今まで入れ歯(義歯)を入れてみえる方でも新しい入れ歯はすぐには慣れません。ましてや初めて入れ歯(義歯)を入れる方は、お口の中に異物が入っている感覚に鬱陶しさを感じると思います。やはり慣れの期間が必要です。
ですから私は、まず仮の入れ歯(仮義歯)を入れて、装着感・痛みのある場所を調整しながら本入れ歯(本義歯)を入れていきたいと思います。しかし、この治療が保険治療では認められておりません。保険と保険外の大きな違いは材質の違いもありますが、手間と時間のかけかたの違いが一番大きな差になると思っています。
特に下の総入れ歯に関してですが、話したり、ものを食べたり、飲み込んだりする時の筋肉の状態を入れ歯(義歯)に反映させることが必要です。
歯を削って型をとるのとは違い、粘膜の状態を再現していかなければなりません。この場所の型を再現するといっても、全ての方に一様にみえるわけではありませんので、術者の解剖的知識によって、仕上がりが大きく左右されます。
ただ、保険のルールにあるように一発で作るやり方だと、なかなか上手くいかないことが多いのではと思っています。
この工程を行わないと調整の期間が長くなると思います。
保険の総入れ歯
①型をとる
②かみ合わせの高さを調べる
③歯並びを確認する
④完成
自費の総入れ歯
①型をとる
②かみ合わせの高さを調べる
③歯並びを確認する
④仮の入れ歯で粘膜の調整をしながら痛みのある場所を確認
⑤本入れ歯に移行
⑥完成
仮の入れ歯で馴染んでいるので、本入れ歯の時もあまり調整の必要がありません。仮の入れ歯の期間は、患者様によって違ってきます。約1ヶ月~6ヶ月ほどかかります。
保険の部分入れ歯
①型をとる
②かみ合わせの高さを調べる
③歯並びを確認する
④完成
自費の部分入れ歯(薄くて丈夫な金属床です)
①マウスプレパレーション
※残っている歯の負担を減らすように微調整します
②型をとる
③かみ合わせの高さを調べる
④歯並びを確認する
⑤完成
多くの歯を失っている場合
まず仮の入れ歯を作り、調整しながら本入れ歯に移ります。ただし、インプラントを併用した入れ歯をお作りする方が良い場合が多いです。
他の歯科医院で保険の総入れ歯を作ったもののしっくりこず、当院に来院された方がみえました。前の医院では、型をとってから数回でセット(装着)されたようです。しかし、お口の中で踊ってしまって安定しておりませんでした。
当院では、まず仮の入れ歯を作ってから調整、を繰り返して(月に2~3回の来院で6ヶ月かかりました)、ご本人にぴったりと合った入れ歯を作製いたしました。
痛みがよく出る方でしたので、入れ歯の内面にシリコンを入れた『痛みの出にくいコンフォート入れ歯』でお作りしました。
右半分がコンフォート入れ歯になっています。左半分は通常のレジンです。
コンフォート入れ歯(クッション:ソケット)について、詳しくはこちらから
(すべてではありませんが)「家族と同じものが食べられるようになりました!」とおっしゃったときの笑顔が印象に残っています。微力ではありますが、お役に立てたのかなと感じました。
勤務医時代から入れ歯(義歯)のセミナーには多く通いました。学問は日進月歩です。今でも、通い続けています。型の取り方、調整の仕方など色々勉強させていただいております。
千葉県の村岡先生は、義歯の患者さんの気持ちを分かりたいとのことで、ご自分の歯を抜いて義歯を体験されています。その感想から食べ物によっては詰まりやすい等々、教えていただきました。
外科手術の必要がなく、インプラントに比べて安価です。また取り外しが可能なので衛生的に使えます。
特に総入れ歯の場合は、お口の中(粘膜部分)を覆うので、ある程度の違和感があります。
部分入れ歯の場合は「マウスプレパレーション」という、残っている歯の負担を減らすように行う設計と微調整が重要になってきます。
自分の歯のようになるので違和感が少ないですが、インプラントを入れた後のケアが大変重要になります。インプラントは骨とくっつきやすくするためにギザギザになっており、一旦炎症が起こると3ヶ月ほどで周囲に炎症が起こります(インプラント周囲炎と呼びます)。歯磨きもよく行う必要があります。
部分入れ歯でたくさんの歯がなくなっていた方です。最初は、患者様のご希望で保険の部分入れ歯をお作りしました。しかし…保険の部分入れ歯は床(しょう:顎の粘膜と接する部分)がプラスチック製なので、咬んだ圧力がバネのかかっている歯に加わり、その支えてくれている歯が抜けてしまいました。2本ぐらい歯を失った時に、患者さんから理由を問われました。上記のことをお話しして、残っている歯への負担の少ない、自費の部分入れ歯をお作りすることになりました。
定期的に入れ歯のチェックと、残っているご自分の歯の清掃にご来院いただいております。その後、歯を失うことなく20年ほど使っていただいています。
先日、その患者様から「先生のおかげで、この20年歯が抜けずに使えています」と嬉しそうに言われたとき、良かったなと痛切に思えました。
●ベーシック:418,000円
●コンフォート総入れ歯:465,300円
痛みの出やすい方にはコンフォート入れ歯(シリコンで裏打ちがされています)が良いです。
●ベーシック:385,000円
白金加金のバネを使用しますので、
バネ3本の場合…55,000円 合計440,000円
バネ4本以上…88,000円 合計473,000円となります。
●コンフォート部分入れ歯:415,800円
コンフォート入れ歯はまれにシリコンがはがれることがあります。5年間は無償で張り替えいたします。
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