きたいま歯科では、一般の歯科治療をメインに行なっていますが、金属アレルギーの患者さんの助けになりたいと思っています。
なぜ私が金属アレルギー（保険金属の除去）の治療を行なっているかといいますと、５年前のある日、父から、「金属アレルギーかもしれないから、銀歯を外してくれないか」と言われたのが最初のきっかけです。父は、手のひらのただれとかゆみで苦しんでいて、数件の皮膚科にて診察していただいたのですが、どの病院でも同じ診断名、同じお薬を処方され、治ることがありませんでした。

口の中の銀歯がアレルギーの原因だなんて、半信半疑でしたが、言われるまま銀歯を外して経過を見ることにしました。すると、ひと月も経たないうちに、手のかゆみは軽快し、塗り薬も要らないほど良くなりました。金属アレルギーということが本当にあるんだという貴重な体験になりました。まさか治るとは思っていなかったので、写真も撮ってありませんでした。

近年は、免疫機構の低下により、アレルギーの患者さんは増える傾向にあります。しかしながら、医師、歯科医師でも金属アレルギーを正しく見分けるのはとても難しいと思います。歯科医師になって４０年ぐらいになるベテランの先生ですら、「金属アレルギーの患者さんなんか見たことがないし、あるとも思えない」と言っておられる方もおみえになります。
このベテラン先生のお考えを聞いて、「もしかしたら、金属アレルギーの患者さんが本当は目の前にいても、我々歯科医師や医師が見逃してきてしまったのではないか」と思いました。私の父のように。

ただ、やみくもに金属を外していけば良くなるというわけでもないので、医療者側に正しい知識がないと、患者さんに適切な治療ができない可能性もあります。
しかも、我々歯科医師は、歯科大学で金属アレルギーについてしっかりと教えてもらえるわけではないので、卒業後、東洋医学・西洋医学の色々な先生に自ら教えを請わなければ、なかなか治療できない分野でもあります。
歯科医師なら誰でも金属アレルギーのことを知っている、ということは決してないので、金属アレルギーの治療を希望される方は、通院している歯科医師の先生によくお話を聞いた方がよいと思います。

当院は保険医療機関です。金属アレルギー専門の歯科医院ではありません。一般の歯科治療がメインです。患者さんのご事情により、保険の銀歯を入れることも多々あります。先日、夜も眠れないほどの金属アレルギーのかゆみが全快した患者さんから言われました。

患者さん：「先生の医院は、銀歯なんかあまり入れないんですね。」

私(院長)：「いえいえ、患者さんのご事情もあって、銀歯を入れることも多いですよ。」

患者さん：「え！そうなんですか？先生は銀歯はほとんど入れないんだと思ってました。私は金属を外してから夜眠れるようになって、本当に良かったです。先生のおかげです。ありがとうございました。」

私(院長)：「そう思っていただけるとありがたいんですが、なかなかご事情も許されない方も多いんですよ。」

患者さん：「事情ってお金の事情ですよね。確かにみんな生活が苦しいかもしれないですけど、金属を外したら生活も体調もこんなに良くなるって分かってたら、払っても惜しくないっていう人はけっこういるんじゃないでしょうか…。私みたいに悩んで苦しんでる人もいるだろうし、先生、もっと歯の大切さを伝えてあげて下さい。」

と言われました。
おっしゃられるとおりだと思います。これからも、知識を得て技術を磨きながら、患者さんに色々な情報を提供していきます。